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02

Sep

2010

スコットランドでお肉のテイスティング

Aberdeen Angus

イングランドとスコットランドの境界線にある小さな村に、アバディーン・アンガス牛の純血種を飼育するハーディーズミルという農家がある。ロンドンの金融街シティーを脱サラして奥さんの家業である牛生産農家を継いでから8年経つ。2008年にはスコットランドで開催された食の展示会で見事入賞し、一躍脚光を浴びた。翌年にはフランスのリヨンで繰り広げられる美食の祭典、ボキューズ・ドールの展示会場にも出店している。

スコットランドを原産地とするアバディーン・アンガス牛は成立が古く13世紀からの記録があるという。霜降りと赤みのバランスが良く西洋で最も肉質が良いとされ世界中に広まった種である。 50%以上純血種であれば「アバディーンアンガス牛」として牛肉を販売できるそうだが、ハーディズミルはこだわりを持って100%純血種だけ飼育。牛のエサとなる牧草を自ら栽培し夏の間牧草地に牛を放牧、冬は室内でサイレージを飼料とする土地利用型酪農を営んでいる。 配合飼料で育てられた牛肉と比較すると、牧草肥育牛のほうが脂肪が少なく、カロリーも低いことが知られている。脂肪の質も違い、飽和脂肪酸であるオメガ3の割合が高く、成人病や癌の予防に役立つとも言われる。

この農家が毎月第4金曜日に行う「牛肉のテイスティング」が最近メディアで取り上げられ話題を呼んでいる。一頭の牛から取れた10カ所のカットの味と食感を試させる、というものだ。テイスティングには8名まで参加できてお値段は一人37.50ポンド(約6千円)と良心的。参加者は12時半にファームハウスに集合、ハーディーズミルの加工商品である牛のカルパッチョやパストラミをつまみながら、まずはアバディーン・アンガス牛の歴史、オーガニックとフリーレンジの違いの講習を受ける。そのあとで外に繰り出し本物の牛に触れながらフィレやサーロインがどの部位にあたるのか、など基本を教わる。「参加者に良質な肉を見極める知識を身につけてもらいたい。」とご主人のロビンさん。飼育方法には(1)Breeding(2)Feeding 飼料 (3)Handling扱い方、という牛肉の味に影響を与える3つの要素があるという。特に興味深いのはHandling扱い方である。ストレスを受けた牛は肉が凝縮して不味くなるで、牛が出来るだけストレスを感じないように様々な努力をしている。例えば、子牛を母親から引き離すときは段階的に時間をかけて行う。まず子牛と母親の間に縄を張り,匂いを嗅ぎ存在を認識することが出来るようにするが、徐々に母子の間の距離を広げていく。移動中のストレスを最小限にするため屠殺場も近場を選んだ。牛は現地に到着するとリラックスさせるため一晩放牧するという。

基本は牧草肥育でも屠殺数週間前から配合肥料に切り替える農家が多いそうで、それにより牛は大量の水を飲み屠殺時の体重が増えるから高値で買い取られるが、熟成のため肉を吊るしている間に水分が蒸発して縮んでしまうのだという。肉の見分け方も教えてくれる。例えば配合肥料で育った牛の脂肪分は純白に近く、牧草肥育の場合は象牙色で風味が豊か、などだ。

最後に待望のテイスティング。肩肉などあまり馴染みのないカットから次第にリブ、サーロイン、そして最後にフィレステーキと筋肉の少ない柔らかい肉を食べていく。焼き具合はレアで一口サイズ。肉の本来の持ち味を理解するために味付けなしで試す。一頭の牛でここまで違うものかと驚くほど、それぞれ食感も味も異なるが、どれも味わい深い。

牧草飼育の100%純血種のアバディーン・アンガス牛を育てる農家は,スコットランドに2カ所しかないという。英国全国でも10カ所足らずだそうだ。オーガニック認可はあえて得ずに、品質重視で時間をかけて一頭一頭の牛を育ててるハーディーズミル。ユニークなテイスティングを通じて牛生産農家への愛着が沸き、牛肉への認識が深まる。貴重な経験である。

 

Hardiesmill

www.hardiesmill.co.uk

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